コノシロ鮗という光ものの魚 漢字と名前の由来と語源辞典
2016/06/08
「出典:WEB魚図鑑」
コノシロという魚をご存知でしょうか?この魚は出世魚といって、成長すると名前が変わるという、日本独特の習慣がある魚の一種です。
そして、この魚は小さいうちから寿司ダネとして根強い人気のある魚です。そんなコノシロの語源や漢字の由来などの紹介します。
コノシロ鮗の語源・由来
この魚の名前の由来は諸説がいくつもあって定まっていません。その説をそれぞれ紹介します。
・子供が生まれたとき、その胞衣(えな。胎盤や膜の事)を一緒にコノシロを地面に埋めると、丈夫に育つといわれている。そこからコノシロ(子の代)という名がついたという説。
・コノシロを焼くと人を焼いたような臭いがするといわれています。昔結婚が決まっていたけど、別の殿方の子供を妊娠してしまい、娘が病死したと言って「コノシロ・鮗」を棺に入れて焼いたといわれています。そこから「子供の代わり=子の代」という説。
■コノシロにまつわる話
・「この城=コノシロ」という言葉に繋がるので、武士はコノシロを避けてコハダを食べたといわれています。
また、武士が切腹するときにコノシロを備えたといわれているので、切腹魚して嫌われていた。
・昔、江の島に参拝した帰りの洋上で、鮗が船に飛び込んでくると「これは九城(このしろ)が手に入る」という目出度い吉兆だといって九城を築くことを決心したといわれています。またその一つが江戸城という説が残っています。
・大きくなると名前が変わる所から出世するという意味になり、縁起がいい魚と言われた。
コノシロ鮗の漢字と名称
ニシン目・ニシン科・コノシロ属(コノシロ)
漢字: 鮗・鰶・鯯・鱅
学名: Konosirus punctatus
英名: Dotted gizzard shad
別名: アシチン、コハダ、ジャコ、シンコ、セイゴ、ツナシ、ツナセ、ナカズ、ペット、マベラ、ヨナ
■呼び名と大きさの目安
幼魚からシンコ→ コハダ→ ナカズミ→ コノシロ
シンコ ~5cm
コハダ 7cm~10cm
ナカズミ 11cm~14cm
コノシロ 15cm
■漢字の由来
魚に祭りとしたのは、昔、初午の稲荷祭にこの魚を備えたからだといわれる説。秋祭りのとき、鮨のネタに使われることが多かったため「祭り+魚=?」という説。
魚に冬という漢字は、冬が旬の魚だからです。秋が旬という意見もありますが、現代の11月~12月は旧暦の冬にあたるのでピッタリの名前です。
他の字は、魚制 制魚(セイギョ)・魚差魚(サギョ)などとも書きます。また、江?魚(コウサイギョ)と書く場合がありますが、コハダの事です。
■コノシロの親戚
コノシロのニシン科を含めた他の種類は全部で4科。
・ニシン科
・プリスティガスター科
・カタクチイワシ科
・オキイワシ科
■鯯=つなし
コノシロの稚魚の古い名前。現在は「サッパ(拶双魚・鯯)」という、ニシン科の別な魚を指しています。
■鱅=ダボハゼ
淡水魚のダボハゼの事。訓読みで「コノシロ」とも読みます。
コノシロ鮗の産地と旬の時期
成長魚なので、それぞれ美味しい時期がずれます。
・美味しい旬の時期:
シンコ:7月~8月
コハダ:8月~9月
ナガズミ:9月~10月
コノシロ:11月~2月
・産卵期:夏頃
・有名な産地:熊本県、伊勢湾付近、九州・有明海周辺
一般的に、この魚が成長すると金銭的価値が下がるので、シンコの頃が最も高価で、コノシロになると安価な魚になります。
でも、大きく成長したコノシロの方が旨味が強く出るので、一番おいしいという意見もあります。また、関東の握り鮨では外せない定番の魚です。
最後に・・・
鮗・コノシロは小骨が多いため、料理人の腕が問われる魚といわれています。
そして、江戸寿司のネタや熊本県・八代海沿岸、有明海周辺の酢飯が有名なだけでなく、塩焼き、てんぷら、煮つけ料理もあることから、臭いを気にすることなく、他の魚と同じように料理して食べらるということです。