ニジマスは温暖化で水温が変化しても生きていける?実験結果は

   


 
近年、温暖化で平均気温の上昇が問題になっています。それが原因で大きな気象変化が起こっていますが、気温だけでなく陸上の水温の上昇も考えられます。カナダでニジマスを使った論文が発表されましたが、淡水魚は水温上昇に耐えられるのでしょうか?
 

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ニジマスは水温の変化に適応できる?生態系と環境の変化!

気温の上昇は、大きな自然のサイクルという説や人間が原因など、様々な説がありますが、いずれにしても平均気温が上昇していることに変わりはありません。そして、気温が上昇すれば、水温も上昇すると考えられます。この水温上昇の問題を考えるのに役立つ実験を紹介します。
 
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学では、カリフォルニア産とカナダ産のニジマスを使って、通常より高い水温と低酸素の環境の比較が行われました。低酸素を調べたのは、気温が上昇には二酸化炭素の増加、つまり酸素量の低下が考えられるからです。
 

高い水温とニジマスを使った論文とは?

「How Canadian and Californian Rainbow Trout Populations Respond to Higher Temps」というタイトルで、2018年10月26日に論文が発表されました。発表内容を要約すると次の通りになります。

〇「カナダとカリフォルニアのニジマスは高温に順応するのか?」を調べた。
 
〇対象はカリフォルニアに生息するニジマスを1ヵ所から、カナダに生息するニジマスを2ヵ所から集めて調べた。
(説明は無いが、北米大陸で緯度と水温の違う場所から集めたと考えられる。)
※カナダの緯度は、北海道の北端付近からロシアの東シベリア海沿岸付近となる。
※カリフォルニア半島の緯度は、九州の南端付近から台湾の南端付近となる。
 
〇実験内容は、「通常より高い水温」「水中を低酸素する」「成魚と稚魚を比較」「合計3か所の天然のニジマスを比較」
 
〇結果は、カリフォルニアの稚魚はカナダの稚魚より、高温で低酸素の環境に耐性があった。成魚には大差が無かった。
 

この論文で分かった事と不明な点は?

この論文で不明な点は、水温や酸素量など具体的な数字がありませんでした。また、各個体による水温や酸素量に対する耐性の差があったとありますが、何匹位を対象に調べたのかが分からないので、どれくらいの個体差が出たのかが分かりませんでした。
 
分ったのは、各個体で耐性が異なる。ニジマスはこれからの気温と水温上昇、酸素量の低下に強い耐性があると言っています。そして、二つの利点があり、一つは孵化場でより環境の変化に強いニジマスを残すことが出来るのと、釣りの産業を長く楽しむことが出来きます。
 
 

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温暖化と気象変化で淡水の水温はどうなるの?

温暖化と気象変化の影響を考えると、海水温の変化、海面上昇、台風やハリケーンの威力が強くなる、などの問題が挙がります。

IPCC第3次評価報告書(2001年)・・・0.6℃上昇= 1901~2000年
 
IPCC第5次評価報告書(2013)・・・0.85℃上昇= 1880~2012年
 
海面上昇・・・19cm/1901~2010年
 
※IPCCとは
「国連気候変動に関する政府間パネル」の略語のことで、英語ではIntergovernmental Panel on Climate Change」といいます。それぞれの単語の頭文字をとって「IPCC」と呼ばれています。日本での組織は「JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター」となります。
 

淡水の水温の変化は?

この様に、海水温の研究と調査は進んでいますが、川や沼や池や湖の水温の調査や研究は、あまり注目されていません。なぜなら、海面が上昇して島や町が水没する訳でもなく、サンゴ礁が壊滅する訳でもないからだと思います。
 
そんな中、2000年頃発表された「陸水学雑誌」に、新井正さんが発表した「地球温暖化と陸水水温」という論文を参考に、日本の水温変化を説明すると、次のようになります。「琵琶湖の水温と気温の変化」となります。

彦根の気温・・・1℃上昇/100年間
 
湖全体の水温・・・約10℃(~1984年)、約11℃(1985年~)
 
た、「地球温暖化が湖の水質に与える影響」という論文を、北村友一氏と南山瑞彦氏が発表していて、過去約30年間の気温と水温の変化を調査しました。簡単にまとめると次の通りになります。
季節による変化・・・気温1℃上昇= 湖水表層の水温1℃上昇
 
年間平均水温の上昇・・・霞ヶ浦0.012℃/年、琵琶湖0.031℃/年
 
この様に、日本の湖も平均水温が上昇していることが分かります。海外のニジマスの調査を照らし合わせると、カナダは冬に安全凍結して平均水温が低く、カリフォルニアの水温はカナダより高いのにも関わらず、ニジマスという種類の魚はいます。つまり、北海道と沖縄の湖で生息しているのと同じ環境差があるというわけです。
 
 


ニジマスの生息する水温は?

肝心のニジマスの生態ですが、生息できる水温は「1℃~23℃」と言われています。冬季に湖が凍結しても、湖底まで凍らなければ冬を越すことができます。因みに、好みの水温は「12℃前後」となります。つまり、日本でも養殖がしやすい魚の一種なんです。
 

ニジマスは外来種!

ご存知の方も多いのですが、ニジマスは北米から輸入された魚なので、世界と日本の「侵略的外来種ワースト100」に指定されています。日本では、ニジマスの代わりに元々生息していたヤマメやイワナの放流を促進する地域もあります。
 
ただし、日本原産の魚の多くは、ニジマスほど水温の変化に強くはないと言われています。カナダの論文にもある通り、食用に養殖したり、釣り産業に貢献するのに最適でしょう。
 
 


最後に・・・

1877年に、日本に移入されたニジマスは、環境変化に強いと言われてきました。成魚よりも稚魚の方が、水温の変化に適応しやすいことが分かりました。温暖化が進んでも、暫くは、ニジマスなら釣って食べて楽しめそうですね。
 
参考:The American Physiological Society
 
 

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 - 魚の諸々話

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