ホラガイ・法螺貝は日本最大の巻貝 漢字と名前の由来と語源辞典
ホラガイ・法螺貝とは巻貝の一つで、日本国内では最大となります。大きい分食用として食べごたえがありますが、どちらかといえば道具としてイメージが定着しているのではないでしょうか?そんなホラガイの名前の由来や語源などについて紹介します。
ホラガイ・法螺貝という貝とは?名前の語源と由来
■ホラガイ・法螺貝とはどんな貝?
フジツガイ科の巻貝で、紀伊半島から南の太平洋、アジアからインド洋にかけて分布している、日本では最大の大きさの巻貝。(神奈川県三浦半島でもとれる)
潮間帯(干潮のとき水面の境となる線)の海面下~水深約20mの岩礁底に生息していて、殻高は約40cm、殻幅約20cmの紡錘形をしていて、殻頂部はやや赤みがあるのが特徴。
■ホラガイ・法螺貝の語源
・中が「洞・ホラ」になっている貝だからという説
・オオカラタニシ(大殻螺)から変化したという説
・「掘る」という意味で「掘る貝→ ホラガイ」という説
ホラガイ・法螺貝の名称と歴史について
フジツガイ科・ホラガイ属、ホラガイという貝
漢字: 法螺貝
学名: Charonia tritonis
英名: Triton's trumpet
別名: ホラ・ホラノカイ・リュウキュウボラ
■ホラガイ・法螺貝が関わる歴史
・「和漢三才図会」1712年完成の江戸時代中期に書かれた当時の百科事典には、「味はもうひとつで食べられない」と記されている。江戸時代の頃は食用として価値が低かった。
・吹奏具
平安時代(794年~1185年)の頃から、楽器もしくは音を鳴らす道具として用いていたことが判明しています。
そして、ホラガイを吹いた音は、釈迦の説法に出てくる獅子咆に例えられていて、山伏の修験道には欠かせない法具です。
また、戦国時代には合戦の合図や戦陣に利用するなど、戦には欠かせない道具として用いられてきました。
・「法螺を吹く(ほらをふく)」
ホラガイを吹いた音が大きいところから、大げさなことや虚言をはくことを指している。
・「本草網目」には「形は梭(さ・ひ)に似ていて、いま釈子が吹いているもの」と紹介されています。
「釈子」とは釈迦の弟子や出家して仏弟子になった人のことを指し、「梭(さ・ひ)」とは糸を巻く道具のこと。
ホラガイ・法螺貝の産地と活用
・旬の時期:6月頃~9月頃
・有名な産地:神奈川・三浦半島付近、三重県や和歌山県などの紀伊半島周辺
■ホラガイの活用について
・オニヒトデはサンゴを食べるが、ホラガイはそのオニヒトデを食べるので多少はサンゴの被害を食い止められると考えられている。
・内臓に毒があることで有名なので、食べるときにはよく洗い流す必要がある。
・刺身・つぼ焼き・バター焼き・酢の物・煮もの、他の貝と同じよに食べられています。
最後に・・・
ホラガイというと道具として吹いて使うものと、一般的には広まっていますが、食用でもあります。
また、日本には数種類のホラガイが生息して、基本的には紀伊半島より南と言われていますが、同じくらいの緯度にあたる三浦半島周辺でもとれます。
参考:「原色魚類大図鑑・北隆館」「魚と貝の辞典・柏書房」「たべもの語源辞典 東京堂出版」